登山

【登山】山で強い風が起こる理由

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登山において風は無視できない要素です。
いきなり嫌なことをいうと、「疲労凍死」もこの風による影響を無視できません。

風が体に与える影響

風が強く体に当たれば、体感温度は下がり、その結果、温める代謝エネルギーは増えます。
台風並みの風に当たった場合、代謝エネルギーは2~3倍必要になります。
おにぎり1個は約2時間腹もちするのに対し、嵐の中では1時間持たず、お腹が空いてしまう事実から想像しています。
でも、大丈夫です。自然は特定のルールに基づいているため、予測をたてることができます。
今回は、いつ風が起こるのかを仕組みを理屈を通じてお伝えし、どうすればよいかを考えます。

風はなぜ起こるのか?

太陽光による対流

太陽に温められた空気は軽くなり、上に登ります。
そして上がった空気は、気圧が低い高い場所で冷やされて逆に下り始めます。
これが対流で、太陽が昼間存在する限り、続きます。

そして、気温差が大きくなると温度が低い場所から高い場所へ移動する空気も早くなります。
例えば、上空3000mと、標高0mでは最高気温になる時間にズレがあります。
高所では、午前10時が最高気温なのに対し、標高0mは午後14時です。
つまり、14時に気温差は最大になり、早い対流が生まれます。

強い上昇気流は、ガスを発生させ天気を悪くさせ太陽をさえぎって
高所ではますます気温が下がります。
ですから、高所は気温が下がる間隔がかなり短い特徴があります。

地球の自転により横風になる

対流だけなら空気の移動は上下ですが、地球は自転しているため、風は歪み横風になります。
この時に山という障害物があれば、これを避けようとします。
どう避けるのか。答えは、温められた空気は軽くなっているため、登って越えようとします。
ということは、越えようとする風は局所的に集められるため、風はかなり強くなります。
「8合目以上は、特別な風が吹く」とはこのことです。

山の地形による風の影響

山は尾根と谷で形を作っていますが、風は山に当たるとどのように動くのでしょうか。
答えは、谷を登ります。考えてみれば当たり前のことですが、盛り上がった尾根つたいに
風は移動しません。谷に集まり、登っていくわけです。
そうなると、谷は、水も流れており、風も吹くということから、かなり寒いことが証明できます。
さて、山の地形で、どこが一番風が強くなるのでしょうか?
それは稜線の鞍部です。通称「」です。
天候が悪ければ、見ずとも風が強くなっていることが分かります。

まとめ

地図を見れば、風の向きも読み解くことができます。

ポイント
  • 対流は14時最大になり、それ以降天候は悪化する可能性が高くなる
  • 稜線は風を集めるため、強い風となる
    (標高3000mのアルプス級なら台風並みになることも珍しくない)
  • 稜線で一番風を集めてしまうのは、「峠」である